鉄分が多く含まれる食べ物は?鉄分の摂取におすすめのレシピも紹介
「貧血気味なので鉄分を多く摂りたい」「鉄分を効率的に摂取できる食べ物を知りたい」という方は多いのではないでしょうか。鉄分は血液に含まれる成分で、身体に酸素を運ぶ役割があります。鉄分が不足すると体に酸素が行き渡らなくなるため、頭痛や倦怠感、めまいなどが起きることがあります。
人間は体内で鉄を作れないため、食べものから摂取しなくてはいけません。
そこで今回の記事では、鉄分を多く含む食べものにはどのような種類があるか解説するだけでなく、鉄分の摂取におすすめのレシピも紹介します。1日の摂取量や不足・過剰摂取した際の影響についても記載しているので、ぜひ参考にしてください。
※記事の内容は記事公開時点のものです。
鉄分が豊富な食べ物を摂ろう
鉄分は体を健康に保つために必要な栄養素ですが、どのような働きがあるのでしょうか。
この章では、鉄分の働きの概要やヘム鉄と非ヘム鉄との違い、1日の摂取量について解説します。鉄分が不足・過剰摂取したときの影響についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
鉄分とは?
鉄分は、人間の体に必要な栄養素のひとつであり、ミネラルの一種です。
成人の体内には、約3~5gの鉄分が含まれています。そのうち、血液に含まれる赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンを構成しているのが70%、肝臓や骨髄などに貯蔵されている鉄分が30%を占めるといわれています。
鉄分の役割は、赤血球に含まれる鉄分に酸素が結合することにより、血液にのって身体中をめぐり酸素を運ぶことです。貧血気味の方や妊娠中の方、月経によって毎月血液が失われる女性は、積極的に摂取したほうがよい栄養素です。
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
鉄分には、以下の2種類があります。
- ヘム鉄
- 非ヘム鉄
ヘム鉄は肉や魚など動物性の食品に、非ヘム鉄は小松菜やプルーンなど植物性の食品に多く含まれます。
また、ヘム鉄と非ヘム鉄は「吸収率」と「消化管への影響」にも違いがあることが特徴です。ヘム鉄はタンパク質と結合しており、非ヘム鉄よりも消化管から効率的に吸収されます。この吸収率は、日本人では「ヘム鉄は非ヘム鉄の約5~6倍」の差があるといわれています。
ヘム鉄よりも吸収率の劣る非ヘム鉄ですが、動物性タンパク質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が上がるため、意識しながら摂取するとよいでしょう。
鉄分は1日にどれくらい必要?
厚生労働省の「鉄の食事摂取基準」によると、鉄分の1日あたりの摂取推奨量は18〜70歳以上の男性で7.0〜7.5mg、女性で6.0〜11.0mgといわれています。
【男性】
摂取推奨量(mg/日) | 摂取上限量(mg/日) | |
---|---|---|
18~29歳 | 7.0 | 50 |
30~49歳 | 7.5 | 50 |
50~69歳 | 7.5 | 50 |
70歳以上 | 7.0 | 50 |
【女性】
摂取推奨量(mg/日)《月経あり》 | 摂取上限量(mg/日) | |
---|---|---|
18~29歳 | 6.0《10.5》 | 40 |
30~49歳 | 6.5《11.0》 | 40 |
50~69歳 | 6.5《11.0》 | 40 |
70歳以上 | 6.0 | 40 |
鉄分が不足・摂りすぎるとどうなる?
体内の鉄分が不足すると、体に酸素を運ぶヘモグロビンが減り、十分に酸素が行き渡らなくなります。
その状態が続くと、鉄欠乏性貧血になってしまうおそれがあります。また筋肉内のミオグロビンも低下するため、体力が衰え疲れやすいなどの影響もあげられるでしょう。
一方で鉄分を過剰摂取すると、余った鉄分が体内に蓄積されます。鉄分が体内に蓄積されることにより、便秘や胃のむかつき、亜鉛の吸収阻害が起こるおそれがあるといわれています。通常の食生活で鉄分を摂りすぎることはありませんが、サプリメントなどで鉄分を補給する場合は、過剰に摂取しないよう気をつけましょう。
鉄分の含有量が多い食材一覧
鉄分を効率的に摂取するには、鉄分を多く含む食品を食べるのがおすすめです。この章では、鉄分を多く含む以下の食材について例をあげながら解説します。
- 肉類
- 魚介類
- 野菜類
- 穀類
- 海藻類
- 豆類
- 果実類
- し好飲料類
- サプリメント
食事や日常生活にバランスよく取り入れながら、無理のない範囲で鉄分を摂取しましょう。
肉類
肉類には、消化管で吸収されやすいヘム鉄が多く含まれます。
肉のなかでも牛肉の赤身やラム肉、鶏や豚のレバーが特に鉄分が多い食べ物として有名です。それぞれに含まれる鉄分の量は、以下のとおりです。
- 赤身の牛肉…1.7~2.9mg/100gあたり
- ラム肉…1.2~2.2mg/100gあたり
- 鶏のレバー…9.0mg/100gあたり
- 豚のレバー…13.0mg/100gあたり
ラム肉は独特の臭みがあるため苦手という方も多いかもしれませんが、料理酒を加えたお湯でボイルしたり、すりおろした玉ねぎに肉を漬けるなど工夫すれば臭みがおさえられ食べやすくなります。
魚介類
鉄分は、イワシなど青魚やカツオ、マグロなど、また魚だけでなく、あさりやしじみ、牡蠣などの貝類にも多く含まれます。
鉄分の種類は、肉類と同じヘム鉄なので、非ヘム鉄よりも効率よく吸収できるでしょう。それぞれの魚介類に含まれる鉄分の含有量は、以下のとおりです。
- イワシ…2.3mg/100gあたり
- カツオ…1.9~2.6mg/100gあたり
- マグロ…0.9~1.8mg/100gあたり
- あさり…3.8mg/100gあたり
- しじみ…8.3mg/可食部100gあたり
- 牡蠣…1.9mg/100gあたり
マグロは刺身で生のまま食べられることが多いですが、より鉄分を多く含むのがマグロの缶詰です。ツナ缶には100gあたり4.0mgの鉄分が含まれます。あさりには、豊富な鉄分だけでなく亜鉛やビタミンB12など多くの栄養素を含んでいます。あさり汁などで、栄養を余すところなく摂取しましょう。
野菜類
野菜類には、小松菜やほうれん草、大根菜などに鉄分が多く含まれます。
野菜類に含まれる鉄分は、ヘム鉄よりも吸収率が低い非ヘム鉄です。しかし、ヘム鉄を含む肉や魚介類やビタミンCを含む食材と組み合わせて摂取することで、吸収率を上げられます。野菜類それぞれの食材に含まれる鉄分の量は、以下のとおりです。
- 小松菜…2.8mg/100gあたり
- ほうれん草…2.0mg/100gあたり
- 大根菜…3.1mg/100gあたり
ほうれん草には、鉄分の吸収を助けるビタミンCも含まれています。非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が改善できるでしょう。
穀類
こんにゃくやキヌア、小麦、そば、発芽玄米は、穀類のなかでも鉄分を多く含みます。
以下に、それぞれの穀類に含まれる鉄分量を記載しているので参考にしてください。
- こんにゃく…0.6mg/100gあたり
- キヌア…4.6mg/100gあたり
- 小麦…0.6mg/100gあたり
- そば…1.4mg/100gあたり
- 発芽玄米…2.1mg/100gあたり
玄米には、鉄分の吸収を妨げるフィチン酸が含まれます。玄米から効率よく鉄分を摂取したい場合は、発芽でフィチン酸が変化した発芽玄米がおすすめです。
海藻類
海藻類にも、鉄分を多く含む種類があります。
特に多く含むのが青のりやひじき、焼きのりなどです。
- 青のり(素干し)…77mg/100gあたり
- 干しひじき(鉄鍋)…58mg/100gあたり
- 干しひじき(ステンレス鍋)…6.2mg/100gあたり
- 焼きのり…11mg/100gあたり
ひじきは収穫後に鍋で煮る過程で、使われる鍋の種類によって鉄分量に大きく差が生じます。国産の干しひじきは、ステンレス鍋で作られている商品がほとんどですが、韓国産など輸入品は製法に鉄鍋が使われていることもあるようです。また海藻類は鉄分だけでなく、多くのミネラルや食物繊維を含みます。体を健康に保つため積極的に取り入れたい食材でもあります。
豆類
枝豆や大豆にも多くの鉄分が含まれます。
しかし、植物性食品に含まれる非ヘム鉄なので、動物性食品のヘム鉄と比べて吸収率が劣ります。そのような場合は、肉や魚介類などヘム鉄を含む食材やビタミンCを含む食材を一緒に摂取することで、吸収率が改善できるでしょう。
- 枝豆…2.7mg/100gあたり
- 大豆…9mg/100gあたり
大豆は煮豆などで食べることが多いですが、たくさんの量を摂取するのは難しいかもしれません。そのような場合は、豆乳で摂るのがおすすめです。
果実類
果実類には、干しぶどうやプルーン、アボカド、干し柿に鉄分が含まれています。
干しぶどうや干し柿など、乾燥させて水分を減らした果物には、鉄分など栄養が凝縮されています。たくさん量を食べなくても鉄分を摂取できるので、おやつなどに取り入れてみるのもおすすめです。
- 干しぶどう…2.3mg/100gあたり
- プルーン…1.1mg/100gあたり
- アボカド…0.6mg/100gあたり
- 干し柿…0.6mg/100gあたり
生のプルーンやアボカドにはビタミンCも含まれます。ビタミンCは、非ヘム鉄と一緒に摂取することで鉄分の吸収率を上げることが知られています。鉄分とビタミンCをバランスよく含む果物は、鉄分を摂取するのにおすすめの食材といえるでしょう。
し好飲料類
紅茶や抹茶、ココアにも鉄分が含まれます。
ココアから鉄分を多く摂りたいなら、ミルクココアではなく純ココアを選びましょう。
- 紅茶…17mg/100gあたり
- 抹茶…17mg/100gあたり
- 純ココア…14mg/100gあたり
紅茶と抹茶の原料は同じ茶葉なので、含まれる鉄分の量は同じです。鉄分の含有量が多い紅茶や抹茶ですが、鉄分の吸収を阻害するとされるタンニンも含まれます。紅茶や抹茶を飲むなら、食事のあとはなるべく避けるようにしましょう。
サプリメント
食事のみで鉄分を十分に摂るのは、なかなか難しいでしょう。
足りない鉄分の補給は、サプリメントで摂取するのもおすすめです。
鉄分を補給できるサプリメントには、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類がありますが、より吸収率に優れたヘム鉄を選びましょう。
しかし、非ヘム鉄のサプリメントにも吸収率を上げるビタミンCやクエン酸を配合した商品があります。その場合には、ヘム鉄と同じ程度の吸収率が期待できるため、非ヘム鉄のサプリメントはビタミンCやクエン酸を配合したものを選びましょう。
鉄分の摂取におすすめのレシピ
この章では、鉄分を多く含む食材を使ったおすすめレシピを紹介します。
ぜひご自宅で味わってみてはいかがでしょうか。
鶏レバーのレバニラ炒め
【材料(2~3人分)】
- 鶏レバー 200g
- 玉ねぎ 1/2個
- ニラ 1束
- もやし 1袋
- ニンニク(みじん切り) 小さじ1
- しょうが(みじん切り) 小さじ1
- 塩こしょう(鶏レバー下味用) 少々
- 片栗粉 適量
味つけ
- しょうゆ 大さじ1
- 酒 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1弱
- 鶏がらスープの素(顆粒) 大さじ1/2
- 砂糖 小さじ1/2
- サラダ油 少々
- 塩こしょう 少々
【作り方】
- 玉ねぎを薄切りに、ニラを4~5cmの長さにカットし、もやしを水洗いして、味つけの調味料を合わせておく
- レバーは冷水でしっかり洗って水気をとり、塩こしょうをふって片栗粉をまぶしておく
- フライパンに油をひいてレバーを両面焼き、いったん取り出しておく
- フライパンにニンニクとしょうがを入れて炒め、香りが出たら玉ねぎを入れて炒める
- ニラ、もやしを入れて炒め、レバーをもどして炒める
- 調味料を加え塩こしょうで味を整える
【栄養】
鉄分:9mg/1人分あたり
臭みが気になる鶏レバーは、冷水でしっかり洗ってから料理することで食べやすく仕上がります。
あさりの酒蒸し
【材料】
- あさり 200~300g
- ニンニク(みじん切り) 1片分
- サラダ油 大さじ1
- 酒 70cc
- しょうゆ 小さじ1/2
- あさつき 1/3束
【作り方】
- フライパンにサラダ油とニンニクを入れて香りが出るまで弱火で炒める
- 砂だししたあさりを入れて強火で炒める
- 酒を加えて蓋をして、2分間ほど蒸し焼きにする
- しょうゆと小口切りにしたあさつきを加えて、ざっと混ぜ合わせる
【栄養】
鉄分:11.4mg/一皿あたり
あさりは200ccの水に小さじ1杯程度の塩を加えた食塩水に漬けて、新聞紙をかぶせて砂だしします。
牛肉の赤ワイン煮
【材料(2~3人分)】
- 牛肉(赤身) 300g
- ニンニク 1片
- ベーコン 100g
- 人参 1本
- 玉ねぎ 1/2個
- じゃがいも 3個
- しいたけ 4個
- 塩こしょう(牛肉下味用) 少々
- ローズマリー 1枝
- バター 大さじ1
- パセリ 適量
- オレンジ 1個
味つけ
- 塩 少々
- 黒こしょう 少々
- 赤ワイン 500ml
- 砂糖 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1
【準備】
- 牛肉は一口大に切り、塩こしょうで下味をつけておく
- ニンニクは縦半分に切って芯を取り除く
- ベーコン、人参、皮をむいたじゃがいもを一口大に切る
- 玉ねぎは薄切りにする
- しいたけは石づきを取り、4等分に切る
【作り方】
- フライパンにバターを溶かし、牛肉を炒める。表面に焼き色がついたら取り出す
- 同じフライパンでベーコンとニンニクを炒め、香りが出てきたら人参、じゃがいも、玉ねぎ、しいたけを加えて炒める
- 牛肉を戻し入れ、赤ワインを加えてアルコール分を飛ばす。ローズマリーも加える
- 砂糖としょうゆを加えて蓋をし、野菜が柔らかくなるまで約30分程度弱火で煮込む
- 塩と黒こしょうで味を調えたら、仕上げにパセリとオレンジのゼスト(皮を削ったもの)を散らす
【栄養】
鉄分:8mg/1人分あたり
ローズマリーとオレンジのゼストは風味豊かな香りを加え、料理の味わいを一層引き立てます。
貧血対策に鉄分が豊富な食べ物を摂ろう
今回は、鉄分を多く含む食材や、鉄分を効率よく摂取できるレシピなどを中心に紹介しました。
そのほかにもタンパク質や葉酸が多く含まれている食材を使ったレシピなどを紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてください。
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